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2008/03/31(月)
カテゴリー : 6.法令解釈

「長の事務の一部の委員会等への補助執行」について

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【お問い合わせ】

行政改革の一環として、次のことを検討しているが可能か。
当町には支所があり、支所には所長ほか職員がいて、住民票や印鑑証明の発行や戸籍に関する事務などもろもろの窓口業務を行っている。
その建物内には、公民館の事務局があり、教育委員会の職員が、公民館に関する事務を行っている。
双方とも同じ場所において仕事をしているが、行政改革の観点から、支所の職員(町長事務部局)に教育委員会の事務(公民館事務)を兼務させ、また教育委員会の職員に支所の事務を兼務させることができないか。

地方自治法上、兼務可能かを調べた結果、地方自治法第180条の3の規定により可能であるという結論に至ったが、その逆の「教育委員会の職員が支所の事務を兼務すること」については、可能かどうかの根拠が見つけられなかった。
地方自治法第180条の2の規定は、あくまで委任・補助執行ということで、兼務はできないのか。

<参考>
第180条の2 普通地方公共団体の長は、その権限に属する事務の一部を、当該普通地方公共団体の委員会又は委員と協議して、普通地方公共団体の委員会、委員会の委員長、委員若しくはこれらの執行機関の事務を補助する職員若しくはこれらの執行機関の管理に属する機関の職員に委任し、又はこれらの執行機関の事務を補助する職員若しくはこれらの執行機関の管理に属する機関の職員をして補助執行させることができる。但し政令で定める普通地方公共団体の委員会又は委員については、この限りでない。 

【弊社見解】

昭和41年10月26日行政実例において

「長以外の執行機関の補助職相互の間の兼職(例:選挙管理委員会の書記と農業委員会の書記との兼職)や議会の事務局の職と長以外の執行機関の補助職との間の兼職(例:議会事務局長と選挙管理委員会又は管理委員の書記との兼職)の運用については地方公共団体の自主的判断に委ねられているものと解し、これらの場合においても、当該職員の職務執行に著しい支障がないと認められる場合等には地方自治法第180条の3に規定されている手続きに準じて兼職あるいは事務従事させることは指し支えないものとする」

との判断がなされております。

この行政実例は法令に明文規定がなくとも、職務執行に著しい支障がない限りにおいて、執行機関相互の兼職を可能とする実例です。
これは長以外の職務機関相互間の兼職についての実例であり、長たる執行機関との兼職ではありませんが、法令に明文規定がない場合でも兼職できる場合があることを認めた実例であると考えます。

問題になるのは、「教育委員会の職員に支所の事務を兼務させること」が、この行政実例で例示されている当該職員の職務執行に著しい支障がないと認められるかどうかです。
この点については、それぞれの自治体様において判断する事項でありますが、一般的には支障ないと解されると思います。

なぜなら、地方自治法第180条の2において、首長事務を他の執行機関の職員に原則として委任し、または補助執行させることができると規定しており、この規定からして、首長事務は他の執行機関の職員に携わらせることが原則としてできるものであることを地方自治法が前提としていることがわかります。

支所の職員の職務についても、教育委員会の職員に携わらせることとしても上記のとおり、著しい支障は無いと一般的に考えられると思いますが、この点具体的に支障があるか否かは、あくまで自治体様の自主的な判断に委ねられることと思います。

以上、挙げた点から考察するに、法令上の明文規定や行政実例はございませんが、兼職可能であると考えます。

地方自治法第180条の3において、長はその補助職員を他の執行機関の事務を補助する職員と兼ねさせることができると規定していますが、その逆の場合、今回御質問のように、教育委員会の補助職員に長の補助職員を兼ねさせることができるかどうかについては規定していません。
このため、この逆の場合は禁止されているとの解釈(いわゆる反対解釈)をすべきではないかとの考え方もございますが、明文上禁止している規定は存在しないので、できると解すべきか、できないと解すべきか、いずれであるかについての決定的な判断根拠はありません。

このような場合には、上記のように、関連する規定や関連する行政実例を参考にして、いずれであるかを判断することとなると思います。

いずれにしましても、法令の明文により禁止されているわけではなく、自治体様において兼職させることに特段の支障が存在しないのならば、むしろ行財政改革に資するという効果が期待できますので、兼職できると解して差し支えないと考えます。

なお、地方自治法第180条の2は、事務の委任という方法を明文で認めていますので、どうしても兼職でなければならないやむを得ない事情があるのであればともかく、そうでなければ事務の委任という形をとったほうが無難と考えられます。