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2012/04/13(金)
カテゴリー : 6.法令解釈

附属機関の要件等と考えられる基準

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【ご質問】

地方自治法第138条の4に規定する委員会、附属機関等については、条例によらなければならないことになっております。

文献では、「行政執行のために、又は行政の執行に伴い必要な調停、審査、審議又は調査等を行なうことを職務とする機関」とありますが、附属機関の定義、用件等具体的な基準として考えられることはどのようなものになりますでしょうか。

【弊社見解】

「執行機関の要請によりその行政のための必要な資料の提供等いわばその行政執行の前提として必要な調停、審査、審議又は調査等を行うことを職務とする機関」という抽象的なものでありますので、以下参考文献、附属機関例を掲げます。

これらの例を参考に、要件等と考えられる点を挙げてみましたのでご検討頂ければと思います。

  • 長等の諮問等に応じ、調停、審査、諮問、調査等(協議、懇談、懇話等も想定され、名称によって限定されるものではなく、実質的な役割による。)を行うこと。
  • 少なくとも、住民の権利義務に影響を及ぼす権限行使の前提となる調停、調査、諮問等を行う機関については、附属機関に当たると解すべきこと。
  • 学識経験者等の外部の委員その他の構成員により構成される組織体であること(職員が加わる場合も含む。)。
  • 組織体が合議制(複数の人員よる、全会一致又は多数決)であり、委員長、会長、議長等の代表者、議決方法等が存在すること。
  • 組織体の意見として集約し、長へ報告、答申等を行うこと。
  • 市町村の内部組織(執行機関の内部組織に属するものであり、局部の分課的なものということではない。)であり、外部の団体ではないこと。
  • 委員その他の構成員は、非常勤特別職であり、地方自治法第203条の2により報酬及び費用弁償を受けていること。

【参考文献】

「地方議会運営事典」(地方議会運営研究会編集、ぎょうせい、p531)
地方公共団体が、任意に附属機関を設置するときは、必ず条例によることが必要である(臨時的、緊急を要するものを含む。)が、例えば、執行機関の補助職員のみで構成される場合は、その設置は、当該執行機関のもつ執行権限のうち当然含まれるものと解せられるから、条例によらなくとも、適宜設置することができる(行実昭28.1.16)。
しかし、執行機関の補助職員以外の外部の者が委員として加わるときは、それはもはや「組織」として理解されるべきであり、その設置については附属機関として条例による設置が必要である(「逐条地方自治法」p466・467)。

(上記同書、p532)
附属機関の例
○都道府県・・・防災会議、公害対策審議会、都道府県都市計画地方審議会等
○市町村・・・防災会議、民生委員推薦会、国民健康保険運営協議会、市町村都市計画審議会等
○条例設置・・・特別職報酬等審議会等

【参考研究】
○自治総研通巻398号 2011年12月号:市民参加会議「要綱」設置の違法解釈判例について
http://jichisoken.jp/publication/monthly/JILGO/2011/12/jkaneko1112.pdf

【参考判例】
※下線、強調は弊社

■平成14年01月30日 さいたま地方裁判所
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/305EF28F8F4A6D0D49256BFA00290385.pdf
2 争点2(本件懇話会の附属機関該当性)について

(2) 法138条の4第3項は,「普通地方公共団体は,法律又は条例の定めるところにより,執行機関の附属機関として自治紛争調停委員,審査会,審議会,調査会その他の調停,審査,諮問又は調査のための機関を置くことができる。」と規定している。
この規定にいう「附属機関」とは,執行機関の要請により,行政執行のために必要な資料の提供等行政執行の前提として必要な審査,諮問,調査等を行うことを職務とする機関を総称するものであって,その名称は問わないものであり,また,そこにいう「審査」とは,特定の事項について判定ないし結論を導き出すために内容を調べること,「諮問」とは,特定の事項について意見を求めることを指す比較的広い外延を有する概念である。
更に,この規定は,附属機関は法律又は条例の定めるところにより設置することを要し,地方公共団体の長のそれより下位の行政の内部規律,例えば決裁により制定される要綱などで設置することを許さない趣旨を含むものと解される。附属機関の設置は,法令に特別の定めがない限り,各執行機関において規則,規程その他のめ,今後は,行政組織の一環をなす附属機関の設置は,すべて条例に定めなければならないこととする趣旨で本条が新設された経緯(昭和27年8月法律第306号)からみても,このように解するのが相当である。
(3) 以上の趣旨のもとに本件懇話会についてみると,本件懇話会は,被告(越谷市長)の委嘱による各種団体からの選出委員6名,一般公募選出委員4名及び学識経験者3名の合計13名の任期が確定していない委員(全て市職員以外の者)によって組織された会議であって,その庶務は総務部庶務課において処理するものとされていること,その所掌事項としては,近時地方公共団体において重要な行政事務の一つとされる情報公開制度の基本的な在り方,同制度の基本的内容,その他制度化に伴い必要となる事項について検討を行い,その結果を市長に提言することとされていること,本件懇話会の作成した本件提言は,庁内職員によって組織された本件委員会による本件報告書を基として,協議の末まとめられたものであって,これを基礎として更に条例案が作成されるという行政過程が予定されていたこと,現実に実施された本件懇話会も,前後4か月半にわたる6回の会議及び1回の意見を聞く会において,上記のとおり詳細な検討が遂げられ,その結果を本件懇話会自体の結論である本件提言として結実させたものであること等の前記事実関係のもとにおいては,前記の認定に照らし,本件懇話会は,法138条の4第3項にいうところの「審査」ないし「諮問」を行うための附属機関に該当する組織体と認めるのが相当である。
なお,本件監査結果1を受けて本件要綱に文言上の修正が加えられたことは前記のとおりであるが,前記の事実関係のもとにおいては,上記修正が本件懇話会の組織の実質的な変容をもたらしたものと認めることはできないから,本件要綱修正後においても,上記結論は左右されない。
そうすると,本件懇話会が条例に基づかず,越谷市の内部規律にすぎない本件要綱によって設置,運営されたことは,前記規定に違反したものというべきである。
(4) 被告は,前記のとおり主張して,本件懇話会が前記の附属機関に該当しないと主張するが,本件懇話会が審査ないし諮問を目的とする行政組織として評価するに値する実体を備えていることは前記のとおりであり(附属機関の提示する結論が行政組織の長である越谷市長の行政執行を何らかの意味において羈束する効果を有する必要はない。),法138条の4第3項には,審査ないし諮問の目的や機関の存続期間についても何の限定もされていない以上,一定の事項についての提言をするまでの臨時的,一時的な住民参加型会議組織であるからといって,本件懇話会が附属機関に当たると解する妨げとはならないものというべきであるから,被告の主張は採用の限りではない。
なお,このように附属機関の意義を解することについては,行政に対しては,随時,専門的,科学的あるいは民主的意見を反映させることが必要であり,そのためには,弾力的に行政を運用することができなければならないとする近時の要請に適合しないとする非難が予想される。このような社会的要請にそれなりの合理性があることは否定できないけれども(もっとも,前記の事実関係のもとにおいては,本件懇話会の設置条例を制定する時間的いとまがなかったとは想定しにくい。),法138条の4第3項の規定の制度趣旨は前記のとおりであり,これに合理性が肯定できる以上,上記の社会的要請も,この法の趣旨に反しない程度で実現されるほかないものというべきである。例えば,その調和点として,予想される附属機関の目的や類型,存続期間等を定めておき,所定の条件を満たす附属機関については,市長等執行機関が行政執行上の必要に応じて随時設置することを認める旨のいわゆる委任条例を制定しておくことなどは,法の許容するところと解される。

 

■平成14年9月24日 福岡地方裁判所
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/907A38FF60C6EF0249256F390018DD03.pdf

2 本件公金支出の違法性について
(1) 「まちづくり委員会」の性格
被告は,「まちづくり委員会」は地方自治法202条の3第1項が規定する「附属機関」ではなく私的諮問機関である旨主張する。
地方自治法によれば,普通地方公共団体の執行機関は,その担任する事項について調停,審査,審議又は調査等を行う附属機関を法律又は条例の定めるところによって設置することができると規定している(地方自治法138条の4第3項,202条の3第1項)。このことは,執行機関の附属機関を設置するには法律又は条例の定めるところによることを要し,附属機関が法律又は条例で設置されていない場合,附属機関の委員の任命行為は無効であって,委員に対する報酬等の支払いは違法である。
そこで「まちづくり委員会」が「附属機関」に当たるか否かにつき検討する。
証拠(甲2,5,丙1の①,②,2の①ないし⑧)によれば,「まちづくり委員会」は,被告が町長として平成9年9月6日に施行したまちづくり委員会設置規則(以下「本件規則」という。)によって設置されたものであるが,平成13年10月1日に施行された本件条例によって条例上の根拠を有するようになったこと,本件規則及び本件条例の内容は別紙記載のとおりであること,「まちづくり委員会」の委員に対する費用支出は,総務費を款,総務管理費を項,地域づくり推進事業費を目とし,節細説として委員報酬又は旅費(費用弁償)という費目であることが認められる。
以上によれば,本件規則と本件条例の違いは,2条と6条及び8条だけであって,その違いは,2条が,本件規則では見出しを「目的」とし「委員会は,本町の個性ある地域づくりについて,調査・研究・討議を行い町長に提言することを目的とする。」と規定しているのに対し,本件条例では見出しを「所掌事務」とし「委員会は,町長の諮問に応じ,本町の個性ある地域づくりについて調査・研究・討議を行いこれらの事項について,町長に答申する。」と規定し,6条が,本件規則では「委員会を円滑に運営するため,運営委員を置く。運営委員は,各校区を代表し,委員会の運営の基本方針を協議する。」と規定しているのに対し,本件条例では「委員会を円滑に運営するため,6人以内の運営委員を置くことができる。」と規定し,8条が,本件規則では見出しを「事務局」とし「委員会の事務局は,企画振興課に置く。」と規定しているのに対し,本件条例では見出しを「庶務」とし「委員会の庶務は,企画振興課において処理する。」と規定し,その実質は何ら変わっていないこと,本件規則の2条において定められた「まちづくり委員会」の目的は「地域づくりについて,調査・研究・討議を行い,町長に提言する」というのであって,これは地方自治法138条の4第3項が規定する「諮問又は調査のための機関」といわざるをえないこと,「まちづくり委員会」の委員に対する費用支出が,附属機関としての委員に対する費用支出の項目でなされており,かかる事実からすると,「まちづくり委員会」は地方自治法138条の4第3項が定める附属機関としての実態を有しているといわざるをえない。
被告は,「まちづくり委員会」が一定の課題解決に向けた企画・立案過程の一環としての活動ではなく,企画・立案のテーマ選択や要否決定等のための極めて初動段階での情報収集の一環に過ぎない場合で,しかも組織として統一的な意思形成をすることもなく,長に対する拘束力も弱いような場合には,要綱等による設置を認めても附属機関条例主義の趣旨に反することはなく,附属機関には当たらない旨主張するところ,同主張は独自の見解であって,「まちづくり委員会」がその後条例上の委員会となっていること,「まちづくり委員会」が私的諮問機関であるといいながら,同委員会の事務局が若宮町の企画振興課に置かれる等地方自治法202条の3第3項を意識した規定となっているなどの実態からすると,「まちづくり委員会」は地方自治法138条の4第3項が規定する執行機関の附属機関であると解すべきである。

 

■平成10年10月30日 名古屋地方裁判所
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/9506E0B006C03CEC49256D41000B0905.pdf

2 市政調査会を設置する条例上の根拠規定は必要か(違法事由その2)。
法一三八条の四第一項は、普通地方公共団体の執行機関は、その団体の長と委員会又は委員からなることとし、同条第三項本文で、「普通地方公共団体は、法律又は条例の定めるところにより、執行機関の附属機関として自治紛争調停委員、審査会、審議会、調査会その他の調停、審査、諮問又は調査のための機関を置くことができる」と規定し、右のような調査会を置くには、法律又は条例の定めを要するとしている。
附属機関とは、執行機関の要請により、その行政執行のための必要な資料の提供等いわばその行政執行の前提として必要な調停、審査、審議又は調査等を行うことを職務とする機関であるところ、前記のように、市政調査会は、市長の諮問に応じて市政に関する重要事項を調査審議するものであり、右規定にいう、執行機関の附属機関として諮問又は調査のための機関に該当する。ところが、名古屋市長はこれを条例ではなく、市政調査会規程という市長の内部規定によって設置しているのであるから、法一三八条の四の規定に反し違法である。
被告ら及び参加人は、市政調査会は、執行機関の附属機関でない、諮問又は調査のための機関でないとして、法一三八条の四第三項の適用がないと主張する。
しかし、前記のように、市政調査会は、名古屋市の団体事務や機関委任事務や市長の執行事務等に関し、部会を通じ、市長側からの個々の事件についての報告を受けて、これに対し、部員が意見を述べるという形態で行われるものであり、諮問とこれに対する答申の実質を有するから、諮問のための機関であると認められる。
被告ら及び参加人は、議会と市長との対等の関係からしても市政調査会が附属機関ということはできないと主張し、法定外の諮問機関であると主張する。
しかし、市政調査会は前記のとおり、執行機関が行政を行うために意見を聴くという組織であり、執行機関に属するといわざるをえず、執行機関は長若しくは委員会又は委員及び附属機関からなるとの法一三八条の四第一項、第三項からすると、附属機関に位置づけざるを得ないのであって、議員と市長との関係のみから、「附属」機関性を有しないということはできない。そのような理由で附属機関でないというのは、そもそもそのような組織を設けることの可否が問題となる。
市政調査会は私的諮問機関として、法に反しないとの意見がある。なるほど、法定外の私的諮問機関が実際存在し、地方公務員法上、これの存在を前提とした規定が存在するとはいえ、これら私的諮問機関は、迅速な行政対応をすることを目的として、限定された諮問事項につき、短期的に諮問を受けることを予定したものであり、諮問事項について限定がなく、議会制度が存続する限り恒常的に存在し、その人員が多く、これに対する費用弁償額も多額に上る市政調査会のような組織を、私的諮問機関ということは到底できない。

※以下2つの判例は「判例検索システム」に登載なし。
■平成20年10月30日 岡山地方裁判所

2 争点(1)について
(1) 地方自治法138条の4第3項は,「普通地方公共団体は,法律又は条例の定めるところにより,執行機関の附属機関として自治紛争処理委員,審査会,審議会,調査会その他の調停,審査,諮問又は調査のための機関を置くことができる。」と規定している。同条項は,普通地方公共団体が,任意に附属機関を設け得ることを認めるとともに,附属機関を置く場合は必ず法律又は条例によらなければならないことを定めたものであり,各執行機関において規則,規程,要綱その他の内部規律に基づいて附属機関を設置することはできない。
附属機関とは,執行機関の要請により,行政執行のために必要な資料の提供等行政執行の前提として必要な調停,審査,諮問,調査等を行うことを職務とする機関であり,その名称は問わない。
(2) 上記認定事実のとおり,本件要綱において,本件委員会の所掌事務は自治組織についての諸問題の調査検討等であるとされている。実際の活動においても,本件委員会は,本件町内会と新町内会の関係者から事情を聴取するなど,調査活動を行っている。そして,本件委員会は,委員会としての意見を取りまとめ,本件報告書を作成して,岡山市長に提出した。本件委員会の庶務は,市民局市民企画総務課で行われており,これは附属機関と同様の扱いである。以上によれば,本件委員会は,諮問,調査等を行う合議制の機関としての実態を有しており,地方自治法138条の4第3項所定の附属機関に当たるというべきである。
この点について,被告は,ある機関が附属機関に該当するか否かは,実質的に地方公共団体の行政組織に該当するようなものか否かという観点から判断されるべきであり,本件委員会は岡山市大窪地内の町内会における紛争の解決という特定の単一の事案のみを対象として,臨時的に設置され,その設置期間は短期間とすることが予定されていたのであるから,私的諮問機関に当たると主張する。確かに,本件委員会は,上記の紛争の実態についての調査及びその解決に資する意見の聴取等を主眼として設置されたものである。しかしながら,本件要綱において,本件委員会の設置目的は,特定の単一の問題の解決のみとされておらず,むしろ自治組織のあり方についての意見聴取及び自治組織の諸問題の解決に向けた意見の聴取という一般性のある設置目的が定められており,設置期間について特段の定めはない。そして,上記紛争に関しても,地域住民の福祉を損なうものとして認識され,岡山市職員が長期にわたって解決のための働き掛けなどを行っていたのであるから,その解決を主眼として設置された本件委員会は,同市職員とともに又はこれに代わって実質的な行政活動を行うことが期待されていたものであり,実質的に岡山市の行政組織に該当するようなものということができる。また,同市職員による長期にわたる働き掛けにもかかわらず,解決のめどが立たなかったというのであるから,設置の際において,本件委員会の活動が短期間で終わることが予定されていたともいえない。
さらに,被告は,本件委員会は住民の権利義務に影響を与えるような権限を行使するものではないと主張するが,附属機関には,調停,審査,諮問又は調査という幅広い役割が定められていること(地方自治法138条の4第3項)にかんがみれば,住民の権利義務に影響を与える権限を有するか否かによって,附属機関に当たるか否かを判断することはできないというべきである。

 

■平成21年6月4日 広島高等裁判所岡山支部(上記控訴審)
(7) 同頁17行目の「確かに」から同12頁10行目までを次のとおりに改める。
「しかしながら,上記のとおり本件要綱上,設置期間の定めはないから,設置期間がもともと短期間であったとまで一概にいえない。また,原判決を付加訂正のうえ引用して認定したことに加え,証拠(甲1,5,乙2の1ないし5)及び弁論の全趣旨によれば,岡山市は,平成18年7月4日に本件委員会を設置し,同月5日から検討委員会を開催し,同月14日及び同月24日等に両町内会関係者から事情聴取をし,その後同年9月までの間に本件委員会を重ねて,本件町内会に係る紛争に対して,岡山市のとるべき態度,解決策について協議し,関係者に歩み寄るよう説得するなどした後,同年9月30日に本件報告書を作成して岡山市長に提出し,その後何らの活動もしていないことが認められ,これらの事実からすれば,確かに本件委員会は,本件町内会における紛争の解決を主たる目的として設立されたと推認されるが,他方,原判決を付加訂正のうえ,引用して認定した事実によれば,岡山市は,自らが作成している町内会名簿に登載された町内会に対して,一定の報償金を支払っており,また本件町内会内の紛争によって,本件町内会を脱退した者の家庭ごみの収集や岡山市の広報誌の配布に支障が生じ,平穏な市民生活に影響が懸念されたことについて,岡山市の担当職員は,本件町内会の紛争の調整に乗り出したものの解決に至らず,本件委員会はそれを引き継いで,関係者からの事情聴取や調整活動を行い,本件報告書において,一定の解決案を示したといえる。
以上によれば,本件委員会が取り扱った紛争は,本件町内会の会員の市民生活や本件町内会の実質的な権利義務に相当大きな影響があると認められる事項であるところ,本件委員会の調査,調整活動やその意見によって,事実上その後の岡山市のこれらへの対応の方向性を大きく左右する関係にあると考えられる。
地方公共団体におけるどのような機関が,地方自治法138条の4第3項所定の附属機関として,設置されるにあたり,法律又は条例によらなければならないとすべきかについては,学説上争いがあるものの,少なくとも,住民の権利義務に影響を及ぼす権限行使の前提となる調停,調査,諮問等を行う機関については,同項所定の附属機関に当たると解するべきところ,上記のとおり,本件委員会の取り扱った事項は,関係住民や本件町内会の実質的な権利義務に相当な影響のある事項であると認められることからすれば,本件委員会は,同項所定の附属機関に当たることに疑問の余地はない。また,本件委員会は,岡山市の吏員のみによって構成されるものとは異なり,外部の第三者である委員5名により構成されていることに照らすと,岡山市の執行機関とは別個の組織に該当するものであり,その設置は条例で定めなければならない。」